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第22回世界スカウトジャンボリー

【22WSJ派遣概要】

 世界ジャンボリーは4年に1度開催される、スカウティング最大の祭典で、22回目の今年は2011年7月28日~8月6日にスウェーデンで開催されました。これに伴い日本連盟からはスカウト・指導者・IST・CMT等、総勢約1000名が日本派遣団として派遣されました。派遣隊、CMTは7月25日~8月9日、ISTは7月24日~8月11日が派遣期間となり、その前2日間に出発直前準備訓練が行われました。

 

【IST】

 今回のジャンボリーに、私は国際サービスチーム員(IST)として参加しました。ISTは簡単に言えばジャンボリーのスタッフで、現地でプログラムの運営、安全管理など、各部署に分かれ様々な仕事をします。日本ジャンボリーの本部要員と同じです。今回のジャンボリーでは一部の人を除いて、事前に部署が知らされることはなく、現地でチェックイン時に部署が分かる…といった状況でした。日本のISTはモジュール(プログラム)や食堂といった部署に配属された人が多かったです。

 私は事前に部署が分かっていて、日本派遣団パビリオンでの勤務でした。

 

 

 

【日本派遣団パビリオンでの仕事】

 ジャンボリー会場の中心地には、各国の派遣団本部が置かれます。各国派遣団は、そこで自分の国の紹介等をすることができます。今回日本派遣団では、日本文化、東日本大震災、Welcome The World、23WSJといったブースを設けました。日本文化の紹介は毎回置かれているブースで、従来通り習字やおもちゃ(けん玉等)とともに、今回は初めてコスプレの紹介が行われました。海外でも大人気のアニメや漫画。コスプレブースは連日大好評でした。私はアニメも漫画も全然知らなかったので、もっと勉強しなくちゃいけないな、と思いました。

 この部署に入って仕事をしたことによって、日本という国に興味を持っている人がたくさんいることを実感しました。震災のことにしても、23WSJのことにしても、今世界中の注目が日本に集まっているようです。

 

【「出会い」の場から「再会」の場へ】

 今回のジャンボリーは私にとって5回目のジャンボリーで、2回目の世界ジャンボリーでした。  5年前の14NJが初めてのジャンボリーで、その翌年の21WSJでは初めて海外に行きました。14NJや21WSJは本当に本当に楽しくて、たくさんの新しい仲間と出会い、その後のベンチャーでの活動や富士章の取得にも繋がっていく、貴重な体験でした。

 「新しい出会い」これがジャンボリーでの大きな楽しみで、それは今でも変わりません。しかし、ローバーになり新しい楽しみを見つけました。それは、「仲間との再会」だったのです。 

 ベンチャーでの3年間、様々な行事や派遣に参加させて頂きました。そこで日本中の仲間、海外のスカウトの仲間との出会いがたくさんあり、その仲間たちと今回の22WSJで再会することができたのです。中でも、韓国の友人とは高校1年生のときに日韓フォーラムで出会い、高校2年生のときに韓日フォーラムで再会、22WSJで3回目の再会となりました。彼女は海外のスカウトの中で一番の友達で、会うたびに日本語が上達していて、毎回悔しくなります。彼女との会話は英語、日本語、韓国語を混ぜて話します。今までは英語がメインでしたが、今回はほとんど日本語!!次はもっと韓国語を使いたいです。

 海外の友人とこんなに何度も会えるのは、スカウティングのすごいところだと思います。外国人に「ゆい~!会いたかった!」と言われると、とっても嬉しくなります。

 もちろん今回のジャンボリーでも、新しい友達もたくさんできました!

 

【もちろん観光も!】

 わざわざ海外まで行って、キャンプだけして帰ってくる…そんなわけありません。ジャンボリー以外でも、ほとんどの派遣では観光日が設けられています。今回ジャンボリーの開催地はスウェーデンでしたが、デンマークに非常に近い場所で、コペンハーゲン空港を利用したため、観光はデンマークでした。スカウトたちはジャンボリー前に、ISTはジャンボリー後に観光日が1日設定され、ガイドさんと一緒にコペンハーゲン市内を回りました。 

さらにISTは会場から一番近い街まで毎日バスが運行していたので、それに乗ってスウェーデンの観光にも行けました。

 

【英語】

 色んな国から人が集まるとき、公用語は英語になります。これは何においても同じことです。英語は話せるようにしておくべき。はっきりと言えます。

 21WSJで初めて外国に行った時、私は中学3年生で、正直言って学校の英語の成績はかなり良かったです。しかし実際に現地に行ったら、まったく話せなかったのです。勉強の英語と話す英語は違うということを実感しました。すごく悔しかったけど、海外のスカウトと楽しそうに話すベンチャーの先輩や、ドイツ語まで話せる隊長を見て「英語を話せるようになって、4年後にリベンジする!」と決めました。高校は国際科に進学しました。ジャンボリー中に英語で話をしていたとき、ふと「あぁ、この瞬間のために英語勉強してきたんだな」と思い、すごく嬉しくなりました。ISTは参加資格に「英会話ができること」というのが含まれていて、業務中は英語ですが、それよりもくだらない会話をしている時のが喜びを感じられます。

 「海外に行かないから関係ない!」と思う人もいるのかもしれませんが、そんなことはありません。英語が話せるだけで、人生何倍も楽しめます。

 

【世界スカウト旗】

 世界ジャンボリーの会場には、必ず世界スカウト旗が掲揚されています。これは毎回閉会式で次の開催国に渡されます。 今回の閉会式ではスウェーデンから日本へ手渡されました。

 また、閉会式では23WSJの紹介もされました。 

 

【23WSJに向けて】

 いよいよ4年後、日本での世界ジャンボリーがやってきます。「世界ジャンボリーって言っても、どうせ日本じゃん」なんて思っている人もいるでしょう。それは間違いです。「日本でやるからみんな行ける」なんて簡単に指導しているリーダーの方々、それはやめてください。

 21WSJ、22WSJと2回の世界ジャンボリーを経験し、分かったことがありました。スウェーデンは初めて行った国だったのに、会場内はどこか懐かしい空気。「スウェーデンの空気」ではなく「WSJの空気」だったのです。つまり、どこでやっても世界ジャンボリーは世界ジャンボリー!開催地は日本だけれど、その2週間はそこは日本ではなくなります。言語は当然英語だし、参加者の80%は外国人。通貨は円を利用しますが、それだけです。

 正直に言って、日本でやるからといって参加費が安いわけでもありません。世界ジャンボリーの参加費は国ごとにカテゴリに分けられ、金額が違います。日本は当然一番上のカテゴリに分類されていて、それは会場がどこであっても変わりません。もちろん今回のジャンボリーほどはかからないし、それだけのお金を払う価値のあるものであることは確かです。4年後に開催されることは分かっているのだから、今から少しずつ貯金すれば何も金銭面は問題ありません。

 参加できる人数ですが、日本からは約6千人を予定しています。これだけ聞くと多く聞こえますが、日本ジャンボリーの参加者は大体2万人。それでも参加できない人もいるわけだし、日本のスカウトの数を考えたら、とても多いとは言えません。世界ジャンボリーに行きたいという強い意思、日本人としての自覚を持ってこれからの4年間を過ごしてもらいたいです。スカウトに限らず、IST、指導者も同様です。

 なんだかんだ言っても、ジャンボリーは本当に楽しいし、参加することで人生が変わります。2回も行ってる私が言うのだから、本当です。ぜひみなさんにもジャンボリーの空気を味わってもらいたいです。みんなで4年後の23WSJを楽しみましょう!

 

【海外派遣に参加しよう!】

 スカウトのみなさん、とくにベンチャーのみなさん!世界ジャンボリーに限らず、ぜひ海外派遣に参加してみてください。チャンスはいくらでもあります。

 海外派遣に行けばすごいというわけでもないし、行けばいいというわけではありません。でもスカウトとして海外に行くことで、世界中に仲間がいることや、なぜスカウト活動がこんなにも世界中に広まったのか…それを体で感じることができます。

 「海外派遣なしで富士章が取れても、それじゃ富士スカウトとは言えない」とおっしゃってる方がいました。それは言い過ぎかとも思いましたが、たしかにそうだな、と思える部分もあります。

 海外に行くと、自分がスカウトであることを誇りに思えます。この活動を続けていて良かったと心から思えます。海外の友達だけでなく、一緒に参加する日本人の友達だってできます。他県にスカウトの友達がいるというのは、本当に心強いです。

 

【最後に】

 22WSJはみなと地区からは私一人の参加になってしまいました。21WSJを経験しているにも関わらず、同じ団の後輩の参加を促せず、悔しさを感じています。

 22WSJへの参加は4年前から望んではいたものの、初めてのISTでの参加に踏み込めずぎりぎりまで悩み続け、締め切り当日に母親と隊長を走らせることになってしまいました。また他県のISTから、団から金銭面での補助はないと聞き、自分が本当に恵まれた環境で派遣に参加できていることが分かりました。書ききれないほどたくさんの方々の支援を受け、無事に派遣を終えることができました。

 今回の派遣から、私は「スカウト」ではなくなりました。これから後輩たちにもたくさんの経験をしてもらえるように経験者として、指導者として協力していきたいと思います。そして、自分自身もまだまだたくさんの新しい経験を重ねながら、成長していきたいです。

 今回もたくさんのご支援をありがとうございました。